園長先生の部屋にもどる



7月26日から今年もカール・オルフ夏期特別研修に参加しました。カール・オルフは「カルミナ・ブラーナ」と「子どものための音楽」(Musik fur Kinder)等を残した偉大な作曲家であり、メソッドを残さなかった偉大な音楽教育家でもあります。南ドイツバイエルン地方の小さな町、トラウンヴァルヒェンに滞在し、ザルツブルグのオルフ研究所の先生や小学校の校長先生の授業を受けるのです。今年は邦彦先生と二人で参加しました。バイエルン地方は最後に夏休みに入るので、子どもたちとの交流や授業も見せていただくことが出来ます。最終日はザルツブルグのオルフ研究所に移動して研修を受け、修了証を頂きます。ザルツブルグではサウンドミュージックツアーにも参加し、その後はウィーンに移動、ウィンナーワルツを踊る体験をして、8月6日に帰国しました。充実した研修でした。

1軒しかないペンション・レストランの
ご夫妻と
後ろがオルフ小学校
ザルツブルグオルフ研究所の庭で
オースターク先生から
修了書を頂いた邦彦先生
サウンドミュージックの撮影場所
ガラスの温室の前で

♪初めての出会い
私が初めてオルフの音楽教育に出会ったのは大学時代でした。初めはどこかが違うな~と感じた程度だったのですが、だんだんと奥が深く、子どもたちの発想を生かす想像性・創造性にあふれた音楽教育に心惹かれていきました。何かそこに結果ではなく、過程を大事にする、人間的な温かさを感じたのです。卒論にも音楽教育を取り上げ、日本女子大学と武蔵野音楽大学の両方の教授の指導を受けました。そして、大学付属幼稚園退職後、ザルツブルグのオルフ研究所の研修を受けに行きました。そして、あまりにも今までの生活や生き方と違う文化に出会い、ショックを受けて帰ってきたのです。
その体験はその後の私の教育に対する考え方に大きな影響を与え、1人1人の個性を大切に自分の生き方に自信を持って生きていく人間を育てる 日吉台光幼稚園の教育理念を創り上げる事に繋がったと思います。今年で4年目になるこの研修は期待を裏切られること無く人間的な温かさを感じ、音楽を通して自尊感を育てるオルフの全人教育のすばらしさを再認識して帰ってきたのです。
 邦彦先生が何を感じたかは分かりませんが、本物に触れ、心揺さぶられる体験から大切なことを感じ取ってくれたと確信しています。2年前主任も参加し、私がいつも言っていたことがやっと分かったと話してくれました。リズムクラブ・メイツの指導をしている三澤先生も2年前にご一緒し、研究所にも行った方ですので、幼稚園にその空気がひたひたと流れるようになると嬉しいと思います。

小学校のホール朝のお散歩で 村の風景近くの可愛い家の前で

♪小学校の授業
ここの小学校は普通の小学校なので、他の授業も当然ありますが、先生がギターを弾いてみんなで歌ってから始めるなど、常に音楽に触れ、楽しんでいます。今年も校長先生が受け持つ2年生のリコーダーの授業を見学しました。昨年見学した1年生のクラスでずいぶん上手になっていました。1時間の授業の組み立ては音楽的の活動を適宜入れながら、気分の切り替えを上手にし、間にはしっかりと集中してテストを行い、最後には先生を囲んで歌を歌って終わりました。「何の授業だったのですか」という質問に低学年では子どもたちの集中時間を考慮しながら、1時間ずっと座って一つの教科をやるという事では無くフォームを変えることが大事!子どもたちの目がいつも開いていること。今日で言えば、始めにみんなで輪になって座って話を聞き、椅子に座って集中して勉強、笛の活動、最後にはピアノの前に集まってうたうという様に変化に富んでいます。「歌うことはみんな大好きなので子どもたちの持っているものを引き出しやすくし、元気にさせることが出来る」と聞いて、こんな授業を受けている子どもたちは幸せだな~と思いました。10時半位におやつの時間があり、自分の家から持ってきたサンドイッチやリンゴなど食べたり、学校でパンを買って食べたりもしていました。基本的にはお昼過ぎに授業は終わり、家でゆっくり過ごしたり、楽器などの個人授業を受けたりして過ごします。4年生で一区切り、その後の進路を決めて上の3種類の学校に分かれるようです。自分で進路をきちんと考えられるのはそれまでその子どもの考えを大事に尊重し、引き出しているからこそだと思います。授業では子どもたちがどんどん手を挙げて意見を言い、先生たちがその意見を採り上げながら進める場面が多いのに気が付きます。写真で分かるようにクラスの人数も少なく落ち着いています。うらやましい限りです。私はラジオの毎日ドイツ語、テレビのドイツ語講座など今までに無く勉強したにも関わらず、ちょっとした単語が分かる位でほとんど分からず、もっと勉強するべきだったとがっかりしました。英語を10年以上勉強しても良く分からないのに、無理も無いことです。

1人1人の座布団があって、
ここで本を読んだり・・
笛の活動先生がピアノを弾きだしたら
みんなが集まって歌い出した。

今年は幼稚園の園長先生のお話を伺うことも出来ました。子どもたちも可愛いお部屋やお庭でゆったりと過ごしていてやっぱりいいなあ~と思ってしまいました。交流の様子や他の先生の授業の事など、今年は次号で紹介したいと思いますのでお楽しみに!

園長先生と小学生たちと邦彦先生幼稚園の子どもたちと
園長先生の部屋にもどる