園長先生の部屋にもどる



研修報告として、今回は教育制度について取り上げます。
南ドイツ・トラウンヴァルヒエンの幼稚園の園長先生の話やオルフ小学校校長先生の話を思い出して、日本との違いを考えていました。日常から解き放されるからだけでは無い、あの快適さは何だろう!いやされる!人に守られている!温かい!自分に自信がよみがえる感覚はなぜだろう、オルフの全人教育だからなのか?ドイツだから?

☆幼稚園の園長先生のお話
幼稚園の概要




園児は60人で3,4,5歳児が各20名ずつ,スタッフは先生3人と補助の先生が3人と園長先生です。オルフ小学校のお隣ですが、付属ではなく、バイエルン州の教会系の幼稚園です。保育は午前中で途中に家から持ってきたおやつの時間があります。午後までの保育を希望する人がいないとのことでお昼は家に帰って家族と過ごすそうです。また仕事をしていても3年間は経済的に支援されていて育児休暇が取れ、その後は仕事に戻れる制度があります。近くの工場が多い街には7時~18時30分まで預かる幼稚園もあり、0~3歳まで預かる幼稚園も今度出来たそうで、少しずつ変化が見られるようです。
幼稚園で大事にしていること・就学前の課題
子どもが自分の事をよく知って、自分で考えられること、人と関われることが大事。自分を認め、人を認める。就学前までに、1人の人間として自分が誰で、自分の事が考えられること。仲間と関われることが出来るようにすること、集中力を創り上げていく事を大事にしていくとのことでした。印象的なのは自分を知ると言うことを何回もおっしゃったことです。
☆ドイツやオーストリアの教育制度について
 私は何度もこの研修に参加しながら、ドイツやオーストリアの教育制度をほとんど知らないことに気がつきました。オルフ小学校は4年生までで、その後の進路を決め3つの学校に分かれます。日本はほとんどの人が大学に行くようになり、就職前に自分が何をやりたいか考えたり、就職活動にはどこの大学出身かが問われるような現状を思うと、4年生でもう進路を決めるのはずいぶん早すぎるのではないか?かわいそうなのではないかと柴田先生にお聞きしたことがありました。その時、ドイツではどこの大学に行くかではなく、何を自分は学びたいかが大事!職人になりたいなら、早くから専門的な知識を得たり、修行出来る方が技術が磨ける。職人にマイスターという称号が与えられるように社会から認められ、自分の職業に誇りを持っている国民だと言うことが分かりました。
またドイツ語はYES、NOをはっきりさせる言語なので、家庭の中でも学校の中でも自分の意思を明確にすること、自分の意見を持つことを求められることでもあり、だからこそお互いに人の意見や考えを尊重するという立場を取ることが可能になるそうです。誰に対してもその人間の解釈を認めてくれる許容力をもっている。だからこそ、教育現場や芸術分野でそれぞれの表現を認めると言うことに繋がっていくのだそうです。
この柴田先生の「ドイツにおける表現教育」の中のこの一文を読んだ時、幼稚園の園長先生が何度も自分を知る、自分の意見を持つことを大切にする教育の背景が分かりました。日本のようにどこの大学に入るか、どこの中学に入るかの為に、詰め込みの受験教育をすることで本当は自分は何が好きで、どういうことがあっているかなど考える暇もない今の教育の問題点が見えてくるような気がしました。幼児期・学童期をたっぷりとした愛情と自然に囲まれてゆったりと過ごし、自分を知り、自分の適正に気付き、自分の進むべき道を歩み出すことは土台がしっかり出来ているので不登校や引きこもりなど、日本で起きている思春期の問題が発生することが少ないのではないかと思います。ドイツ・オーストリアの考え方をストレートに持ってこられないとしても、人間を大事にする根本的な精神は学ぶべきことがあり、もっと関心を持って見ていきたいと思いました。

参考までにドイツの教育制度を載せておきます。
編集: 川合 早久枝ドイツご出身のアネッテ 植松さんとのインタービューの内容をもとに小雑誌「ドイツの実情」-翻訳(ドイツの実情研究会/プリンテックス(株)制作、インターネットの無料辞典「Wikipedia」などを参考に編集されたものから。

Grundschule(小学校)1~4学年原則として、その年の6月30日までに満6才になる児童が対象になりますが、12月30日までに満6才にある児童でも能力次第で(通常幼稚園での観察で判断される)許可される場合があります。学校は、午前7時半から8時15分の間に始まり、12時には、終わり、給食は無く、子供たちは、おやつにパン、果物、野菜など持ってきて、勉強が終るとすぐ家に帰ります。科目も一般的な科目以外に宗教教育があります。学校へは、自転車通学も可能なので、自転車の交通教育が実施されています。休みには、宿題など出ないようです。

小学4年で進路を決定

4年生の12月から翌年に進む学校を決めるための面談や相談などのスケジュールが組まれ、2月中頃には、進む学校への入学申し込みをします。ドイツでは、受験がないかわり、小学校での成績の評価を本人、両親の希望とにより、進学先を決めます。2) Hauptschule(ハウプトシューレ-中学校/基礎学校) 5~10学年  卒業後、職業学校(2-3年)に通いながら、就職します。3) Realschule(リアルシューレ中等実技学校、中等商科学校)5~10学年 卒業後、achoberschule(専門上級学校)に進学できます。4) Gymnasuim(ギムナジウム)5~12/13学年ギムナジウムへの入学は原則として小学校が学力を評価して、ギムナジウムを薦めていることが必要です。ギムナジウムは、5年生から10年生までのSekundarstufe 1(中等教育1)と、11年生から13年生までのSekundarstufe 2(Gymnasia le Oberstufe)とからなり、アビトゥア試験(Abiturpruefung)があり、合格することにより、大学など高等教育へ進む資格が得られます。また、10学年(16才)を終了した時点でMittere Reife(中返すことになります。2年目も落第したら、Realshule(中等実技学校)に転校しなければなりません。5)Steiner シュタイナー学校(私立学校、1~12学年) シュタイナー学校は、公立の小学校と同じく6才で入学し、12年間の一貫教育で、落第もなく、18才で卒業し、大学に行くには卒業後、シュタイナー学校に付設されているアビトゥアを受験する人のための授業を受けてからアビトゥアを受けます。6)Gesamtschule(ゲザムシューレ-総合学校-小中高一貫校) シュタイナー学校を真似て作られた13年間一貫教育の総合学校で、アビトゥアを受ける資格があり、比較的に新しい教育制度です。

園長先生の部屋にもどる